おおよそ何でも出来る人というのはいる所にはいるもので、羨ましくないと言えは嘘になるけどそうなりたいかと聞かれれば俺はNOと答えるんだと思う。いみじくも理想って言葉がよく似合う人だけどそういう人はあまり近くにいられると萎縮や嫉妬や嫌悪の対象になるんじゃないだろうか。それを思うと俺と跡部くんの距離はいみじくも理想。
 強いってことは良いことかな。悪いことじゃないんだろう。
 それはなんとなくわかるんだけど、その過程を考えると億劫になって他人と自分とを比較してしまいがちな俺は強いってことに向いてない気がする。夏、コートの上で黄色いボールばかりを追いかけてると目が痛くなってやだね。って言ったら、別に、と返された時、跡部くんは本当にテニス大好きなんだな、と思った。良くも悪くも。
 中途半端が一番好きだよ。
 ときどき会場や街で見かけたら声をかけるくらいの間柄で、跡部くんはそれを許容してくれてるだけだけど、全貌が見えないから親しい気持ちを感じているだけだって知ってる俺にとっては、この中途半端な距離が一番心地いい。
 ときどき、本当にときどき嫉妬のかけらを感じることもあるんだけどこれ以上のめりこむのが嫌な俺とこれ以上はない跡部くんなので嫉妬の芽はでないし、花もさかない。




芽はでない。花もさかない。  060325  テニスの王子様